
一方、農林水産部には軽石の漂着直後から、軽石の利用について、農家からたくさんの問い合わせがあったという。
「軽石の中には空気を含む空間があるので、土壌の改善に使えないか、また、アルカリ性の石灰と似たような利用ができないか、というような声が寄せられました」(農林水産部担当者)
もともと軽石は、火山から噴き出したものだが、それを使って農作物を育てても安全性に問題はないのか。
環境部は沖縄本島の3カ所で採取した軽石について、カドミウムや六価クロム、ヒ素など、有毒物質の分析を行ったところ、いずれも基準値以下だった。その結果を11月17日に公表。「軽石の有効利用に際しての環境安全性に問題はないと考えられる」とした。
だが農林水産部の担当者は「農業用としての軽石の利用は推奨できない」と言う。
「軽石に含まれる塩類による生育障害の懸念があります。水で洗うなど、除塩ついては、確立された方法があるかも含めて調査中です」(農林水産部担当者)
■塩を洗い落とせば問題なく使える
沖縄県が軽石の有効利用に悩む一方、すでに積極的に生かしている農家もある。
鹿児島県・徳之島でコーヒー農園を営む宮出博史さんもその1人。
「もともとコーヒーの木は水はけのよい、風化した火山性土壌を好むんです。ところが、沖縄もそうなんですが、徳之島の土は粘土質で、コーヒーとのマッチングが悪かった」と、宮出さんは話す。
粘土質の赤土では「毛細根」が十分に育たない。そのため、木の成長が遅く、根の張りも悪く、風にも弱かった。収穫期の2~3月には雨が多く、水はけの悪さが豆の糖度に悪影響を及ぼすことも悩みだった。
そんな土壌を改良するため、宮出さんは「ボラ土」「鹿沼土」といった軽石(もしくは風化した軽石)を購入し、腐葉土とブレンドして土をつくり、コーヒーの木を育ててきた。
「でも、けっこうコストがかかるので、困っていたんですよ」(宮出さん。以下同)
そんな宮出さんの目の前に現れたのが大量に漂着した軽石だった。
「軽石は基本的に火山性の『ボラ土』と変わらない。なので、海岸に流れ着いたときから、どんどん取りに行きました。厚さ数十センチもたまっていたので、いくらでも取れた」
軽石に含まれている塩分は問題ないのか?
「以前、除草剤代わりに海水をまいたときもコーヒーの木は大丈夫でしたから、軽石を真水で洗えば、ぜんぜん問題なく使える、と思いました」