在宅の仕事が増えたが、仕事量は変わらず。会議の合間にパパッと食べる食事は冷凍ミールの「nosh(ナッシュ)」。栄養バランスのとれた糖質30g以下、塩分2.5g以下の60種類を超えるメニューから選んで宅配。電子レンジで5分前後温めて出来上がり(撮影/写真部・馬場岳人)
在宅の仕事が増えたが、仕事量は変わらず。会議の合間にパパッと食べる食事は冷凍ミールの「nosh(ナッシュ)」。栄養バランスのとれた糖質30g以下、塩分2.5g以下の60種類を超えるメニューから選んで宅配。電子レンジで5分前後温めて出来上がり(撮影/写真部・馬場岳人)

■藤野さんが引退したらひふみはどうなる

 話が弾んだところで、財布を見せてもらった。薄い長財布に現金10万円。アメリカン・エキスプレスのブラックカード、運転免許証、銀行のキャッシュカード。

「経営者は長財布なんて話もありますが、二つ折り財布を使っていた頃も会社はうまくいっていました。財布の形は何でもいい」

 藤野さんという異才が、ひふみ投信をここまで育てた。そこで聞きたい。藤野さんが遠い将来、引退したらどうなるのだろう。何十年も長期保有をするつもりで投信を買った人には気になる。

「僕は人の目利きには自信があります。たとえば……見て、レオスの名刺のロゴ。東京五輪の聖火台を手がけたnendoに頼んだんですよ。佐藤オオキさん(代表)のとこ。当時はまだ大卒の兄ちゃん二人の会社で、このロゴは彼らの初期の作品だと思います。ロゴとか起業関連のいろいろを含めて、100万円で受けてくれた」

 nendoといえば、日本でも指折りのデザイン会社。その金額では、今はとても無理だろう。

「僕はデザインのよしあしはわからないけど、約20年前に佐藤オオキさんが、なんだか天才だとわかった。レオスの僕以外のファンドマネジャーも、他部署の人間も、キレッキレの人しかいません。僕以上に才能がある。だから、ひふみの今後が楽しみなんです」

◎藤野英人(ふじの・ひでと)/1966年、富山県出身。1990年、早稲田大学法学部卒業後に野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)、ジャーディンフレミング投資顧問(現JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。現在、代表取締役会長兼社長、CIO(最高情報責任者)、「ひふみ投信」シリーズのファンドマネジャー。社名の「レオス」は古代ギリシャ語で「流れ」という意味。日本にある人財・資本・知恵・技術など多くの資産(キャピタル)の「流れ」をつくる工房(ワークス)。神奈川県・逗子のご自宅で取材させていただいたが、学生時代からのピアノはかなりの腕前だった

(文/大場宏明、綾小路麗香)

※『AERA Money 2021秋号』から抜粋

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