社長は何を食べ、財布の中身はいくらか。「AERA Money 2021秋号」では資産運用会社レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長に取材している。
藤野さんが運用する投資信託「ひふみ」シリーズの高い実績は評判を呼び、会社全体の純資産総額は今年5月に1兆円を突破した。
「次は100兆円を目指す」と意欲的な藤野社長。目標は運用業界の「アップル」であり、投信業界の「ポッキー」だという。
■タワマンを売って葉山へ
藤野社長の自宅は神奈川県逗子市の、海の見える高級住宅街にある。コロナを機に都心のタワーマンションを売り、もともと別荘だった家に生活拠点を移した。
藤野さんが約50キロメートル離れた東京駅前のオフィスに足を運ぶのは週2~3日。あとは自宅で勤務。
さっそく「メシ」を見せてくださいと言ったら冷凍庫を開けてくれた。低糖質・低塩分で人気の冷凍ミール「nosh(ナッシュ)」が整然と並んでいた。ヘルシーな食事を短時間で確実に取る。
レオス・キャピタルワークスは金融業界でかなり早くテレワーク体制に切り替えた企業の一つだ。
「コロナ流行前の2019年4月には在宅勤務を標準にする準備をはじめていました。ラッシュ時の満員電車は従業員から体力もやる気も奪ってしまうからです。おかげでコロナ感染拡大により政府が1回目の緊急事態宣言を出す前の昨年2月、いつ会社に行ってもいい『コアタイムなしのフレックス、かつ在宅勤務体制』に切り替えられました」
リモート化は女性の離職を食い止める効果もあるという。
「夫の海外赴任、九州に住む親の介護、3人目の出産などを理由に優秀な女性従業員を失いそうになったことがありました。働く場所の制約をクリアすれば、米国でも九州でも働き続けられます。妻の実家のある和歌山で海を見ながら働き、たまに東京に出てくるなんて社員もいます。ライフスタイルに合わせて通勤ラッシュと無縁の生活になったほうが、優秀な従業員を雇用できて、会社の長期的な成長にもつながる」