週刊朝日2021年12月17日号より)
週刊朝日2021年12月17日号より)

 介護保険を使ったリフォームの申請手続きの流れとしては、リフォーム工事をする前に、改修内容が保険給付対象になるかといった審査が必要となる。工事が終わった後の「事後報告」では支給対象にならないので注意しよう。

 介護保険のリフォームは、要介護度のランクを問わず、ひとり20万円までが支給限度基準額の原則。そのうちの自己負担額は、所得に応じて1~3割だ。ただし要介護度が最初に工事をしたときより3段階以上上がった場合や転居した場合には、再度20万円までの支給限度基準額が設定されている。この20万円は何度かに分けて使うことも可能だ。最初に手すりをつけ、車椅子が必要になったらドアを広くするなど、家族の状況や暮らし方に合わせて徐々に改修していってもよい。

週刊朝日2021年12月17日号より)
週刊朝日2021年12月17日号より)

 介護保険の対象となるリフォームの条件としては、住宅の新築や新たに居室を設けるなどの増改築は、リフォーム費用の支給対象にならない。また、病院に入院していたり施設に入所中で、一時帰宅のために住宅改修を行った場合も支給対象外となるので要注意だ。自治体によっては、さらに独自の住環境整備事業で上乗せ可能な補助金や必要に応じた設備別の給付などもあるため、住んでいる地域の役所などで支援内容を事前に確認しておくとよい。

 病院に入院していて、在宅ケア生活に移行する場合には、退院前に病院側のリハビリスタッフと在宅ケアのスタッフが集まり、自宅のバリアフリー点検などを含む家屋調査を行う。立ち会う人は、本人、家族に始まり、病院側の理学療法士や作業療法士、(場合によっては)医療相談員。在宅ケア側は、ケアマネジャー、福祉用具貸与や住宅改修業者、(場合によっては)ヘルパーや訪問看護師、訪問リハビリの理学療法士などだ。本人の身体の状態に合わせ、段差解消や手すりの設置など、具体的に必要なことを検討しながら環境調整を行う。ケアマネジャー歴21年の牧野雅美さん(アースサポート)は言う。

次のページ