※写真はイメージです (GettyImages)
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「自宅で最期まで過ごしたい」と考えたとき、快適に過ごすための住空間をどう作るか。居心地の良さのポイントは人それぞれで、どんな改修が適しているかは身体の状態によっても変わってくるが、早ければ早いほどなじみやすい。

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「まずは取り入れやすいものから徐々に」と考えると、高齢期の住まい作りはどんな視点で計画するとよいのだろうか。高齢者の暮らしに詳しい岡本弘子さん(日本シニア住宅相談員協会代表理事)は、「高齢期のリフォームは、大きく2段階に分けられる」と話す。

 まず一つ目が、高齢期に入った段階で将来を見据え、できるだけ安全に暮らせるようにする「バリアフリーのためのリフォーム」。元気なうちの高齢期の生活を、いかに安全に過ごすかという視点で考える。二つ目が、実際に介護生活に入ったときに必要となる「介護のためのリフォーム」。そのときの身体の状態に合わせ、バリアフリーリフォームよりもっと細かな視点で、必要となる設備を整える。どちらの目的も一度に行うのではなく、「基本的には別物の内容として考えたほうが、余計なリフォームをしなくて済む」(岡本さん)という。

 というのが、よくあるリフォームの失敗例に、「先回りして介護を見据えたリフォームをしたが、結果的に使わずじまいになってしまった」というものがある。例えば「廊下に手すりをつけたものの、予想外に車椅子生活になってしまい、手すりがあるために車椅子で通りにくい」「背中が曲がって身長が縮み、手すりの高さが合わない」などといったケースだ。身体の状態は年々変わってくるほか、現時点で使わない設備はかえって邪魔になったり、掃除の手間が増えたりといったデメリットもあるという。

「基本的にはその時々の暮らしに合わせて、少しずつ変えていく。自分がどんな状態まで家で暮らせるかという想定を元に、何が必要なのかを考えると、無駄なリフォームを省けるはず」(同)

 高齢期のリフォーム工事で活用したいのが、介護保険制度による費用の補助だ。補助を受けるには要介護認定・要支援認定を受ける必要があり、被保険者が対象となる住宅改修をした場合、9~7割の費用が支給される。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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