
AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。
【写真】『東急電鉄とファン大研究読本 進化し続ける銀色電車』はこちら
『東急電鉄とファン大研究読本 進化し続ける銀色電車』は、久野知美さんの著書。筋金入りの「女子鉄アナウンサー」が紹介する東急電鉄の魅力。今年9月2日、東急電鉄をはじめ東急グループは創立100周年を迎えた。そんな東急の全面協力のもと、100人以上の関係者へのインタビューを重ね、東急の魅力を一冊の本に凝縮させた。久野さんに同書にかける思いを聞いた。
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銀色の車両の前で、ノリノリで敬礼をする。
「普段は入れない場所にたくさん入れていただき、楽しく取材させていただきました」
と、著者の久野知美さん。「女子鉄アナウンサー」として活躍するフリーアナウンサーだ。本書は、そんな久野さんの通算5冊目の鉄道本。シリーズとしては第4弾となる。これまで京急や東京メトロなど首都圏を走る鉄道を、一冊の本にまとめてきた。今回、向かったのは今年9月に創立100周年を迎えた東急グループの東急電鉄。東急といえば、銀色に輝くステンレスの車両だ。
駅、保線区、研修センター。さらに東急初の女性駅長まで。冒頭の言葉通り、東急の様々な部署を訪ね担当者にインタビューを重ねた。総勢100人以上。知られざる東急のディープな世界を掘り下げた。
中でも印象に残ったというのが、東急の保線拠点「新丸子保線区」の取材。電車が安全に走行できるよう線路を保守・管理するのが保線区だ。
「縁の下の力持ちとして、日々働く保線員の皆さんには尊敬の念を抱いていました。その現場を実際に見せていただき、レール断面測定器を使わせていただいたりして感無量。ただ、20キロを超える機械を扱う作業もあって、私は働けないと思いました(笑)」
久野さんは、取材で心がけていることがある。
「アナウンサーは視聴者やリスナーの目となり耳となり、現場の様子を伝えるのが役割だと認識しています。今回も、例えば『車両基地に入れてもらって楽しかったです』だと私の自慢になってしまいます」