「政治に関心はあるけれど、どう関わったらいいかわからない人が大多数だと思うんです。小川さんとの対話に悪戦苦闘する私に自分を重ねた読者が多かったのでしょう」
和田さんは小川さんに導かれ、人口や税金、労働環境と賃金、ジェンダー、環境、エネルギーと、今の日本が抱える政治課題を学んでいく。難解な資料や参考書を読み、自分なりの考えを持てるようになった和田さんが、ときに小川さんがひるみ、「デスマッチ」と呼ぶ対話ができるまでに成長する過程はスリリングだ。
読者は和田さんの歩みを追うことで、民主主義の主権が自分にあることに気づかされ、政治と社会問題の関係性と知識を深めることにもなる。
「政治を学ばないと世の中は動きません。政治とは主権者の私たちと為政者の政治家が対話を重ね、よりよい社会にするために、折り合いの着地点を見つけていくものなんです。でも、そのプロセスが今の日本には欠けています」
政治の入り口に導く著者として意見を求められることが多くなった今、和田さんが次に考えるのは、政治対話に興味を持ち、参加する人を増やすこと。そのために小川さんの衆議院選挙戦を取材した政治日記の新刊が、間もなく発売される。
「置き去りにされていると感じる人がたくさんいます。その声を拾い上げるのが本来の政治。私たちは声を聞いてくれる政治家を探す努力も必要なんです。そのために、ふだんから気軽に政治の話ができるようになればいいですよね」
(ライター・角田奈穂子)
※AERA 2021年12月13日号