「君たちはこの猫を本当に飼い猫にしたいのか?猫の性格は子猫のころに決まるため、その時点で人間と共存できる猫とできない猫がいる」
「もし、私がこの猫は人間と共存できないと判断した場合は地域猫に戻すことを強く勧める」
幸いなことにこの心配は杞憂に終わりました。それどころが、ニャジラは人間が思う以上に懐の深い猫だったのです。
その後、私たちにはまた気になる猫が現れました。地域猫の中で“次のボス猫候補になるかも?”と考えていた、マイケルという2歳くらいの茶トラ猫が別の猫に追い回されるようなり、生活の場を失ってしまったのです。
マイケルも『What’s Michael?』から名づけました。赤ちゃんの頃から妹猫のジャネットとともに私たちに懐いており、何時間も一緒に遊んでいたイケメン猫でした。
マイケルをすぐに家猫にしたい気持ちがありましたが、葛藤もありました。多頭飼いができるのか、ニャジラの猫エイズが伝染するのではないか、グループでの2匹の階層が異なりすぎて上手くいかないのではないか、ようやく訪れたニャジラの平穏な日々の邪魔にならないか……。
最終的に6月30日、マイケルを家猫として迎え入れました。当初のマイケルは不安で落ち着かない様子。たびたび悲しそうな声を上げました。すると、その度にニャジラが様子を見に来て、落ち着かせるなどしてくれたのです。ニャジラの父性のおかげで、マイケルはスムーズに家猫になりました。
マイケルはフレンドリーな猫でしたが、ボス猫になれなかったのは、猫同士のコミュニケーションが少し下手な面があったからと感じています。このあたりの欠点を、ニャジラは根気強く正してくれています。ニャジラはやはり、年下の猫の面倒をみるのがうまいのだと思いました。
ニャジラは老成したところがありますが、病院の見立てでは4歳。私と妻は5歳くらいかなと感じていました。いずれにしてもまだわりと若い猫なのです。
そのまま、私たち夫婦と2匹と楽しく平穏な日々が続くと思っていたわけですが、今年の10月、ニャジラに異変が起きました。目やにが目立つようになってきて、食欲も落ちてきたのです。
「なんでニャジラにばかりこんな試練が」というのが、私の気持ち。ニャジラに病魔が忍び寄ってきていたのです。
>>【後編:「おとなの猫を飼うのですか?」上海のボス猫と日本人夫婦の保護活動が日中友好の懸け橋に】に続く
(水野マルコ)
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「猫をたずねて三千里」は猫好きの読者とともに作り上げる連載です。編集部と一緒にあなたの飼い猫のストーリーを紡ぎませんか? 2匹の猫のお母さんでもある、ペット取材歴25年の水野マルコ記者が飼い主さんから話を聞いて、飼い主さんの目線で、猫との出会いから今までの物語をつづります。虹の橋を渡った子のお話も大歓迎です。ぜひ、あなたと猫の物語を教えてください。記事中、飼い主さんの名前は仮名でもOKです。飼い猫の簡単な紹介、お住まいの地域(都道府県)とともにこちらにご連絡ください。nekosanzenri@asahi.com