ニャジラは4歳くらいの雄であること(それまで雌と思っていた!)すでに去勢済みであること。猫エイズに罹患していること。猫エイズのために口内炎や歯肉炎を起こし、咀嚼時に強い疼痛があること。
口の炎症がある程度治まるまで、入院をさせることにしたのですが、生粋の野良猫と思っていたニャジラが「去勢済み」であったことは驚きでした。
ニャジラが入院している間も(ニャジラの仲間の)地域猫を世話していましたが、その過程で、アパートの人たちから、ニャジラについての“ある事実”を知ることとなりました。
以前、ニャジラは私たちと同じアパートに住むアメリカ人に可愛がられていて、そのアメリカ人が帰国する時に「一緒に連れて帰るため」に去勢手術を施していたというのです。
しかし、コロナ禍によって、アメリカ人に緊急帰国の命令が出て、ニャジラを連れて帰る手続きができなくなってしまった。そのため、ニャジラはそのまま(地域猫として)置いていかれたのです。
おそらく、去勢されたことで、けんかでけがを負わされるほど劣勢に立たされたのでしょう。去勢前であれば余裕で返り討ちにしたしょうに、けんかでエイズにも罹患してしまったのです……。
また、ニャジラのボスとしての行動についてもわかったことがあります。ニャジラは小さな猫をとても可愛いがって守るボスであり、また、腹違いの弟がよその猫にいじめられた時、わざわざ相手の猫を探しに出掛けて“仕返し”をしたことがあったそうです。
そんな話を聞くにつけ、私たち夫妻はますます、ニャジラを強く思うようになりました。
◆ 「人間と共存できない猫もいる」ニャジラはどうか?
ニャジラは5日ほどで退院し、昨年12月28日、ニャジラをあらためて家に迎えました。
晴れた日には気持ち良さそうにソファーに寝転がって日向ぼっこしたり、妻の膝枕でリラックスしたりするようになりました。外では私によくなついていたけど、家の中に入ったら妻の方にばかり甘えるようです(笑い)。
ただし、布団の中に入ってきたりしません。なんだか彼の中で「一線」をひいて、ここまではしていいけど、夜は人間の邪魔をしないと決めているようなところがありました。
ニャジラは適応能力が高い猫だと思います。しかし、獣医さんには当初、心配されていたのです。最初に診察室で大暴れした後、獣医さんは私たちにこうおっしゃいました。