大久保さんは11月27日のホーム最終戦後の引退セレモニーで、家族から花束を受け取った(大久保嘉人さんのインスタグラムから)
大久保さんは11月27日のホーム最終戦後の引退セレモニーで、家族から花束を受け取った(大久保嘉人さんのインスタグラムから)

■自分の身の回りのこと

──息子さんとの2人暮らしを通して、気づいたことや変わったことはありましたか。

 三男は自分の身の回りのことを自分でやるようになりました。これまでは、本当に何もやっていなかったから。それこそ、水筒に水を入れるとか、学校の準備をするとかも1人じゃできなかったんです。

 俺も同じですね。家では本当に何もやっていなくて、家事なんて見えていなかったというか、見ていなかったというか。横で妻が何かやってても何も耳に入ってきてなかったし。でも、いざ自分がやるとなれば、「ああ、こんなこともあるのか」「これもやらなきゃ」とやることが多すぎて、これは大変だなと。

 例えば食事でも、「なんでもいいよ」が難しいんだなと初めてわかりました。これまで、よく言っていたんです。いざ言われると何をつくろうか考えて、食材を用意して……。こんなにめんどくさかったのかと気が付きました。食材の管理も俺には無理です。逆に、「これを食べたい」と言ってくれればそんなに苦ではない。つくり方はYouTubeで見られる。その辺はわかるようになりました。息子も俺に似ているから、わりと「なんでもいいよ」って言うんです。そういうときは、「食べに行くぞ」って外に出ていました。

■25日にイベントに出演

──12月25日(土)午前11時から、オンライントークイベント「ママだけが頑張らない!パパでもできる家事・育児を考えよう!」に出演されます。大久保さんのほか、「お片づけ習慣化コンサルタント」の西崎彩智さん、大正大学の田中俊之准教授(男性学)が男性の家事・育児について意見を交わします(詳細は西崎さんのホームページ<nishizakisachi.com/>へ)。

 もともと俺が大阪に行っている間に、妻が西崎さんの45日間で家を丸ごと片づけるプロジェクトに参加していたんです。横浜の自宅は子どもも多いし、片づけが全然できていなかったんだけど、あるとき大阪から横浜に戻ると家がきれいになっていた。家がきれいだとイライラしないし、朝もパッと起きて一日に入っていけます。

 俺がやっていた家事・育児は周りに伝えるとか、そんなことを言えるレベルのものではないです。

 それでも、小学生の子どもと2人で生活していけた。家事なんてできる気がしないって男性もまだまだいると思います。でも、やろうと思えばできる。俺ができたんだし。自分の経験を話して、行動してみれば誰でもできるってことを伝えられたらいいですね。

(構成/編集部・川口穣)

AERA 2021年12月27日号を改変