羽生結弦(はにゅう・ゆづる)/ソチ、平昌と五輪2連覇中。昨季の世界選手権は3位。けがの状況次第で、出場への最終判断が決まる
羽生結弦(はにゅう・ゆづる)/ソチ、平昌と五輪2連覇中。昨季の世界選手権は3位。けがの状況次第で、出場への最終判断が決まる
この記事の写真をすべて見る

 北京五輪代表の最終選考会となる全日本フィギュアスケート選手権が12月23日から26日にかけて開催される。男女シングル3枠、アイスダンス1枠をめぐって五輪への切符を手に入れるのは誰か。AERA 2021年12月27日号では、運命の決定戦を目前にしたフィギュア選手たちの各プログラムの見どころをレポートする。

【写真】日本の次世代エースの筆頭、鍵山優真はこちら

*  *  *

 男子の3枠争いは、五輪連覇の羽生結弦(27)、世界ランキング1位の鍵山優真(18)、平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(24)の3人が一歩リードし、若手の佐藤駿(17)や、悲願の五輪出場を狙う友野一希(23)、山本草太(21)、2度目の五輪を目指す田中刑事(27)らが追う形だ。

 一番の注目は、今季初登場となる羽生。11月に右足首を痛め、NHK杯とロシア大会を欠場。回復の状況次第での参加となり、けが明けの初戦で調子を合わせられるかが一般的には懸念されるだろう。しかし、けがからの復帰戦だった平昌五輪も、身体と向き合い調整をしてきた。昨季も全日本選手権が初戦だったが、ショート、フリーともに新プログラムをほぼパーフェクトに演じ切った。むしろ、彼自身がこの全日本選手権の目標を何と位置づけるかが重要になる。具体的には、4回転アクセルにこだわるのか、五輪3連覇の偉業を目指すのか、だ。

■清塚信也のピアノ曲

 かねて「最終目標」と宣言した4回転アクセルは、彼の最大のモチベーション。昨季の全日本選手権でも、非常に質の高いトリプルアクセルを跳び「4回転アクセルを練習していることで余裕が出てきた」と話していた。この全日本選手権では、国際大会での成功に向けてプログラムで初挑戦することや、公式練習で披露することが考えられる。観客がいるシチュエーションで跳ぶことで新たに掴むこともあるだろう。

 ただ一方で、五輪3連覇の偉業への期待もある。3連覇が与えるメッセージの強さは羽生自身がわかっているはず。そのためには、全日本選手権で優勝し、日本王者として北京五輪に出場することの意義は大きい。昨季のようなパーフェクトの演技で責任感を示す、という生き様を選ぶかもしれない。

次のページ