そして北京五輪の新たな注目となるのがアイスダンス。村元哉中(28)&高橋大輔(35)組と小松原美里(29)&尊(30)組が1枠を争う。直接対決となったNHK杯では、村元&高橋組が6位、小松原組は7位となり実力は拮抗している。
■「和」を感じさせる効果
村元&高橋組の戦略は、いかに長所と個性をアピールするか。今季のリズムダンスに「ソーラン節&琴」という、和の曲のリミックスを選んだ。海や波をイメージした振り付けや、村元が魚となって釣り上げられるリフトなど、アイデアの詰まった作品。日本語のボーカル曲の採用は、海外ジャッジが「音楽解釈」の評価をする上で、強く「和」を感じさせる効果もある。
「歌舞伎、忍者、芸者、あと浮世絵の世界も。いろいろな日本っぽさを表現している」と高橋は説明。基礎的な技を磨くだけでなく、振り付けや演技で2人の長所を引き出す作戦は、理にかなっているだろう。11月のワルシャワ杯では、リズムダンスの演技構成点ですべて8点台以上と、世界トップレベルの評価を得て勢いづいた。
小松原組は、ビザの問題で本拠地のカナダに渡れず苦戦を強いられているが、伸びのあるスケーティングを武器に、ベテランとしての意地を見せるだろう。
4年に一度となる、運命の夜。誰もが、渾身の演技を見せてくれることを祈りたい。(ライター・野口美恵)
※AERA 2021年12月27日号