ジブリの世界を表現した「ジブリパーク」が11月1日にオープンする。トトロにネコバス、ロボット兵……。そして、カオナシも。大きなアトラクションはないけれど、きっと夢中になれる。AERA 2022年11月7日号より紹介する。
* * *
「本当に千尋(ちひろ)になったみたい」
カオナシと一緒に並んで座った女性(40代)は、楽しそうに笑った。
スタジオジブリ作品の世界観を表現した「ジブリパーク」(愛知県長久手市)が、11月1日についに開園する。それに先立つ10月12日、メディア向けの内覧会があり、記者は一足先にジブリの世界にたっぷり浸った。
オープンするのは、2005年に開かれた愛知万博の長久手会場跡地に造られた県営の「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」の敷地内。全5エリア、計約7.1ヘクタールで構成されるが、まず第1期として「ジブリの大倉庫」と「どんどこ森」と「青春の丘」の、三つのエリア(計約3.4ヘクタール)が開園する。残る2エリアは、23年秋に「もののけ姫」の作品世界を舞台にした「もののけの里」が、24年3月にジブリ作品で描かれるヨーロッパ風の空間を表現した「魔女の谷」がそれぞれオープンする予定だ。
■作品を後世に残したい
そもそもジブリパーク構想は、17年に立ち上がった。同年11月に県庁内に「ジブリパーク構想推進室」を設置し、翌18年の4月、愛知県は5エリア整備の概要をまとめた基本デザインを発表した。続いて19年11月、中日新聞社とスタジオジブリがジブリパークを運営管理する「株式会社ジブリパーク」を設立。こうして愛知県とスタジオジブリがタッグを組み、20年7月に起工式が行われた。事業費は総額約340億円。県が全額を負担した。工事着工から2年4カ月、第1期の整備を終えオープンにこぎつけた。
内覧会の日、ジブリパーク内で会見した宮崎駿氏の長男でパークの監督を務める宮崎吾朗氏は、ジブリパークをつくった動機についてこう述べた。
「ジブリ作品を後世に残していくためにどうするか。ジブリの色んなものをぎゅっと詰め込み、多くの人にジブリ作品が忘れられないようにしたかった」
その言葉通り、パーク内にはジブリ作品が凝縮されている。
まず、来場者を迎えてくれるのは、高くそびえる「エレベーター塔」だ。高さ約30メートル。ジブリ映画の「天空の城ラピュタ」や「ハウルの動く城」に代表される、19世紀末の空想科学的な世界観を表現しているといい、時計をあしらった茶色のシックな外観だ。