モデルになった猫たち。左がミュウ
モデルになった猫たち。左がミュウ
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 が題材のマンガは昔から多くあるが、今回紹介する『拾い猫のモチャ』と『猫の菊ちゃん』は、猫を飼うごく普通の中高年家庭で起きる、日常の「あるある」を描いているのが特徴だ。いずれもツイッター投稿がきっかけで書籍化された。

【マンガ『拾い猫のモチャ』はこちら】

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◆『拾い猫のモチャ』

『拾い猫のモチャ』作者・にごたろさん(45)
『拾い猫のモチャ』作者・にごたろさん(45)

『拾い猫のモチャ』は、お父さんとお母さん、高校生の娘(現在は進学し、親元を離れて一人暮らし中)と三毛猫のモチャ、白猫ミルク、子猫のノリ吉の「あるある」な日常をユーモラスに描いた4コママンガだ。作者のにごたろさん(45)は福岡県在住。2018年3月からツイッターに一日一作品を欠かさずアップしている。

「子どものころから猫がずっと一緒にいたんです。実家は本の田舎で有名な猫屋敷で家には常時5~6匹、多いときで20匹の猫がいました。両親は捨てられた猫たちの去勢・避妊をして世話をしていたんです」

 そんな環境で育ったにごたろさんは、小さいころから漫画家を目指していた。23歳で初めて描いた4コママンガで新人賞を獲得し、その後、漫画家のアシスタントをしながら創作を続ける。しかし商業誌デビューはかなわず、30歳を前に夢を諦めた。4人の子の父となり、マンガからは離れていた。再びペンをとったきっかけは4年前にがんで母を亡くしたことだという。

抜群の観察力で猫の自然なしぐさを描く
抜群の観察力で猫の自然なしぐさを描く

「最初のマンガで賞をとったときに『これからマンガで楽をさせてあげるよ』と約束したのに、それを実現させてあげられなかった。母は病床で『孫を育ててくれたんだから、それで十分』と言ってくれましたが、葬式のとき『自分はこれまで、何をやっていたんだろう』と目が覚めた」

 晩年の母は薬の影響で記憶が翌日までもたないこともあった。そのなかでも欠かさず趣味の俳句を一日一句、作っていた。

「『似たような俳句になってもいい、毎日書くことで、私が今日一日生きていたという証しになる』と母は言っていた。なるほど、と思いました。自分も一日一本、俳句の代わりに4コママンガで、その日生きた証しを残したくなったんです」

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