モデルになった猫たち
モデルになった猫たち

 10年のブランクを埋めるため、1年半かけて準備をした。何作か描くうちに、にまつわる作品の反応が抜群によかったことから、猫を題材にすることを決めた。タイトルの「拾い猫」は捨て猫、というネガティブな言葉ではなく猫を拾ったことによって人の人生が変わっていく、という意味を込めたものだ。

 猫を擬人化することなく自然のままの姿で描き、猫好きや猫を知る人に共感を呼べるものを目指した。多くの人に見てもらいたいという思いからツイッターで発表を始めた。

 自身と猫の関わりや、家族とのやりとりなどをモデルにしているが、お父さん・お母さんのキャラクターは自身の両親に似せているという。

「父はメガネくらいですが、母は髪形も風貌(ふうぼう)もそのまんまです」

 投稿に大きな反響があったのは始めて2カ月ほど経ったとき。寝っ転がって本を読む娘の胸にモチャがドン!と乗ってきて、また弾みをつけて去っていく、という作品だ。

「10万以上の『いいね』がついて、いわゆるバズった状態になった。直後に数社から連載や書籍化のご連絡をいただきました」

中年夫婦と猫のあるあるが笑いを誘う
中年夫婦と猫のあるあるが笑いを誘う

 ツイッターでの投稿を続けることを条件に書籍化。現在までに電子版を含めシリーズ6作で10万部を超えるヒットとなった。3年間で作品は1300本以上。ツイッターのフォロワーも17万2千人を超えた。当初は別の仕事と兼業だったが徐々に執筆の依頼も増え、最近、専業漫画家になった。

 猫のしぐさや謎の行動、それに振り回される家族たち。猫好きなら誰もがうなずく瞬間がリアルに描かれ、笑いを誘う。

「いまネットには猫のおもしろい動画があふれていますよね。同時に猫飼いには『ああ、いま動画を撮ってればよかった!』っていう瞬間が絶対ある。『なんでいまカメラ構えてなかったんだろう』『なんなら、うちの猫のほうがもっとすごいことするし』って(笑)。そんなシチュエーションはマンガだったら再現できる。そうすることで見る方々も『あるある』と共感してくれるかなと」

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