※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 年齢を重ねるにつれ多くの人が感じる腰痛。加えて足のしびれや痛みをおぼえる人も少なくない。それらを感じたとき、私たちはどうとらえていけばいいのか。加齢や健康に関する基本的な考え方と受診の目安を専門医に聞いた。

【データ】腰痛や足のしびれ、治療法や診療

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 北海道医療センター統括診療部長・脊椎脊髄病センター長の伊東学医師は、「腰痛・足のしびれや痛みについてまず重要なのは、加齢に伴って人のからだがどのように変化するのか知ること」だと話す。

「加齢によって椎間板や椎間関節という背骨の後ろ側の関節が傷んだり、だんだん腰が曲がって姿勢が変わったりすると、それらが腰痛の原因になりやすいのです。病気と関連している場合もあります。しかし、いきなり病気の症状だととらえるよりも、まずは加齢による生理的な変化を理解することが大切です」(伊東医師)

 なぜなら中高年者の運動器の障害は「この症状が出たらこの病気」と単純に説明しにくく、加齢や肥満などいくつもの要因が複合して症状が出ていることが圧倒的に多いからだ。

 例えば、起床時に感じる腰痛や足のしびれ。その症状から「これは腰部脊柱管狭窄症なのでは」と考える人は少なくないだろう。

「腰部脊柱管狭窄症は、歩けば歩くほど神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫され、血流障害が起きて発症する病気です。ですから、朝にだけ感じる足のしびれはあまり関係ないのです。ではなぜそれが起きているかというと、ストレッチやウォーミングアップ不足で足の血流が悪くなり、からだがこわばっているから。生活習慣を変えるだけで改善することがよくあります。就寝前にしっかりお風呂に入り、ストレッチをして、靴下をはいて温かくして寝れば改善する人は多いです。すぐに改善すれば、ほとんどの場合、病気ではありません。こういうケースは加齢現象の一つだったり、肥満の浮腫やむくみによるものだったりします」(同)

■「いつもと違う」が受診の目安

 私たちは「これが出ているから病気だ」と短絡的に考えるのではなく、まずは「さまざまな要因で起こるからだの変化だ」と受け止めるといいようだ。

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