改善せず、症状が持続すれば病気が疑われる。ただしその病気も、整形外科医が診るような病気のみならず、糖尿病などの内科の疾患である場合もあるという。例えば、高血圧は血管が硬くなっている状態を意味し、それにより運動器の機能が落ちていることがある。

 やっかいなのは、加齢による変化を指す病名の診断がつきやすいことだ。例えば腰部脊柱管狭窄症は、加齢による組織の変化で背骨の後ろ側を通っている神経が少し圧迫されているだけで、そう診断される。よって受診すれば病名がついてしまいやすい状況なのだ。

 伊東医師は、「病気であれば適切な治療が必要だが、自分のからだへの意識をより高めれば、加齢や肥満などによるからだの生理的な変化とは上手に付き合える」と考えている。

 ではどうすべきか。伊東医師は自分のからだの変化を日々チェックすることを勧めている。

「自分で自分のからだをマネジメントすることです。できれば毎日同じように軽い運動やストレッチをし、自分のコンディションはどうなのか、関節や筋肉にこわばりはないか、自分のからだに聞きます。そうすれば『2日前にからだを使いすぎて腰が痛くなったんだ』『関節を動かしていないと硬くなってしびれる』などとわかってきます」(同)

 受診の目安は、そうした日々のチェックで「いつもと違う」と感じたとき。その際は「どういうときにどの部位にどんな症状が出て、何に困っているか」「症状が軽くなるときはどのような場合か」などを記録し、メモを医師へ見せると診断の参考になるという。

 武田総合病院副院長の川西昌浩医師は、受診の目安についてこう話す。

「足やお尻の痛み、しびれなどによって日常生活に支障が出てきた場合です。よくある症状が、間欠性跛行といわれるもので、昔は連続して歩けていたのに、最近は休憩しないと歩けないという症状です。病状がひどいと足首を上げにくくなる垂れ足や肛門の周囲にしびれが起きる人もいます。これらとは別に、足の指が赤みを帯びた紫色になる場合も病院へ行ってください。背中の問題ではなく、足やおなかの血管が狭くなっていることもあります」

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