マイナ保険証の利用方法などを説明する関係省庁のホームページ
マイナ保険証の利用方法などを説明する関係省庁のホームページ

「我が家は3人の子どもがいます。大人は有効期限が発行日から10回目の誕生日までなのに対し、未成年の子どもは5回目の誕生日までで、その受け付けは有効期限の3カ月前から。子どもの誕生日が6月と8月なのでなんとか同時期にできそうですが、誕生日がバラバラだと面倒」(あきさん)

■老親の反応「何、それ?」

 東京都あきる野市の米山医院では今年6月からマイナ保険証対応としている。

「ところが、この約5カ月で利用者は2~3人と、ほぼ稼働していない。患者さんの中心はデジタル化に抵抗がある高齢者ですし、そもそもマイナンバーカードの普及率は、ようやく国民の半数に達した状況ですから」(米山公啓院長)

 冒頭の角田院長も「高齢者がカードリーダーを使いこなせるか。コロナ対応で動線を分けていることもあり、混乱を招くことが予想できる」。前出のあきさんは老親にマイナ保険証について聞いたところ、「何、それ?」という反応だった。

 米山院長が言う。

「当院においては、医療者サイド、患者さんサイド双方において従来の保険証で不便を感じていない。マイナ保険証の前に、デジタル化が進んでほしいことがたくさんある」

 在宅医療を行う「あけぼの診療所」(東京・新宿)の下山祐人院長も「義務化となればやむをえず対応するしかないが、前向きになれない」と話す。

「登録することが多く、業務に支障が出る。一見便利そうですが、現場レベルではそうではないのです。難病に関する限度額の管理などが楽になるとの指摘も耳にします。しかし、訪問診療に重きを置いているクリニックとしては、スタッフが方法を熟知しており、困っていない」(下山院長)

 なお、紀尾井町戦略研究所のWeb調査では、マイナ保険証導入による実質上のマイナンバーカード取得義務化に「反対」は42%だった。(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年11月7日号

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