東京都内の調剤薬局に設置された顔認証付きカードリーダー。機器の下部にマイナンバーカードを置いて読み込ませる
東京都内の調剤薬局に設置された顔認証付きカードリーダー。機器の下部にマイナンバーカードを置いて読み込ませる
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 政府は現行の健康保険証を2年後に廃止し、マイナンバーカードに一体化する方針だ。それによって私たちの生活にはどんな影響があるのだろうか。AERA 2022年11月7日号より紹介する。

【写真】マイナ保険証の利用方法などを説明する関係省庁のホームページ

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 政府は2024年秋にも現行の紙などの健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」へ切り替えることを目指している。10月24日の衆院予算委員会では、マイナ保険証がなくても保険診療を受けられる制度を用意することを岸田文雄首相が表明した。

■システム導入まだまだ

 日本医師会副会長で、角田外科消化器科医院の角田徹院長は、特に着目すべきメリットを次のように話す。

「保険証、診察券、お薬手帳が1枚のカードで済むため、月1回の保険証の提示をしてもらわなくても現時点での保険資格を確認でき、さらにこれまでの通院歴、受診内容、処方薬などもわかる。飲み合わせの悪い薬や同じ薬の重複を避けられますし、過去の受診内容から病名を推測できるなど、安全で的確な医療の提供につながります」

 家計簿&家計管理アドバイザーのあきさんは、すでにマイナ保険証の登録をしている。

「ただ、今の時点ではマイナ保険証を利用できる医療機関が少ないんです」

 マイナ保険証を利用するには、医療機関が顔認証付きカードリーダーを導入していることが大前提となる。厚生労働省は23年度から原則すべての医療機関や薬局に対しマイナ保険証のシステム導入を義務付けているものの、マイナ保険証対応の医療機関と薬局は10月16日時点で7万3217施設。厚労省の20年の各種調査では、医科・歯科の医療機関と薬局は全国23万9675施設なので、どこでも使えるまでにはまだまだ。

「従来型保険証、マイナ保険証、子どもの医療費助成のための医療証を持ち歩かなければならず、不便。紛失や個人情報の漏洩の不安も大きい」(あきさん)

 マイナ保険証では就職、退職、引っ越しをしても切り替え不要。しかしマイナンバーカードは有効期限がある。

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