冒頭のブライトとウィンは、2020年2月から本国でオンエア&YouTubeで全世界に配信されたBLドラマ「2gether」で大ブレイクした。このドラマはツイッター世界トレンド1位にもなっている。
彼らに、デューとナニという新人俳優が加わって昨年からタイで放送されたドラマが「F4 Thailand/BOYS OVER FLOWERS」(現在BS朝日で放送中)。神尾葉子の人気漫画『花より男子』が原作の、アジア各地で制作されてきた人気学園恋愛ドラマのタイ版だ。
ドラマの中で、大金持ちで権力を兼ね備え学校を牛耳るイケメン集団「F4」をこの4人が演じる。原作の道明寺司にあたるタームをブライト、西門総二郎にあたるガウィンがウィン、花沢類にあたるレンにデュー、美作あきらにあたるM.J.はナニだ。筆者は日本、台湾、韓国でF4を演じた俳優たちのほぼ全員を取材したが、キラキラ感はタイ版が最強かもしれない。各国版に輪をかけて、タイF4は少女漫画から飛び出した王子様然としている。
■自分に自信を持って
人生とは滑稽(こっけい)なものだ──。原作の牧野つくしにあたるゴヤーの愛によって変わったタームの、そんな独白から始まるタイ版は、単純な女子高校生の学園恋愛ドラマではない。SNS時代だからこその陰湿ないじめや階級格差などがリアルに描かれる。貧乏でも愛に溢れたゴヤー一家と、お金はあっても家族愛が欠乏するタームの家の対比も鮮やかだ。キャラクターのイメージと俳優がピッタリなのもうれしい。
デューが演じたレンは一見誰もが憧れる高嶺の花のよう。だが、本人は、思い人を秘めるばかりで告白できない繊細な心の持ち主だ。M.J.は、世界で一番クールな男だと自負しながらも、F4の中では常識人。頼りになる男だ。本作がデビューとは思えない存在感を見せたデューとナニだけに、「先輩であるブライトとウィンからどんな助言があったのか」と聞かずにはいられなかった。