ドラマから日本にはない文化が垣間見え、萌える。例えば、「P(ピー)」と「Nong(ノーン)」。「P」は年上の名前に、「Nong」は年下の名前につける敬称だ。これが、弟が兄に甘えるみたいな感じで、可愛い。「そんなの火星から見てもバレバレだよ」「犬みたいな顔をして」など、タイ特有の表現にもグッとくる。
「ただ、ハマるとめちゃくちゃ疲れます」と白田さん。俳優のオンライントークが無料で、ほぼ毎日配信。本人はもちろん、マネジャー、スタイリスト、家族なども頻繁(ひんぱん)にSNSを発信する。知ろうと思えば探偵並みに情報を集めることができ、追い始めるとキリがない。最近は「ある程度、自制しないと」と感じ始めている。

■タイは生活の一部
Yukikoさん(50代)は今年9月、2年7カ月ぶりにスワンナプーム国際空港に降り立った。バンコク中心部へ向かうタクシーの中で「帰ってこられた」と涙が出てきた。
タイ語を学び始めたのは04年。「将来、リタイアしたら暖かいところに住みたい」と考えてのことだった。語学教室にタイのCDがあり、それを聴いたのがタイのエンタメ初体験だ。07年、タイのミュージシャンの来日ライブで一気に「沼落ち」し、コンサートやミュージカルに出掛けるようになり、映画やドラマの魅力にも取り憑かれた。今のようにタイの映画やドラマが気軽に観られる時代ではなく、現地で買い集めたCD、ドラマや映画のDVD(日本語の字幕なし!)を鑑賞した。
「タイは趣味というか、生活の一部。毎日聴いている音楽はほぼ100%タイですし、この1年半で100本以上のタイドラマを観ました」
コロナ禍前は年3~4回タイへ行き、渡航は通算40回になる。
「CDやDVDは500枚ほど持っています。友人もタイ関連で知り合った人がかなりいます」
今回の滞在は10日間。映画2本、コンサート、ミュージカル、夜は歌手のライブイベント、現地在住の友人と連日の食事、合間を縫っての買い物であっという間に時間が過ぎた。タイ好きの友人からの頼まれ物もあり、帰国時の預け荷物は40キロ、手荷物は7キロだった。(ライター・羽根田真智)
※AERA 2022年10月31日号より抜粋