宝島社の企業広告「団塊は最後までヒールが似合う。」
宝島社の企業広告「団塊は最後までヒールが似合う。」

 団塊の世代の歌手、俳優の中尾ミエさん(76)がレオタード衣装に身を包み、ピンヒールを履いて堂々と胸を張って座っている姿が印象的だ。同社の担当者はその意図をこう語った。

「団塊の世代には、競争を勝ち抜いてきたという強い信念があると考えています。自分たちの世代だけで戦後を乗り越え、日本を成長させてきました。自分の意志を曲げない強さが、いま必要ではないかと思います。逆説的な『ヒール(悪役)』という言葉を使うことでその強さを際立たせ、団塊の世代はもちろん、現役世代をも鼓舞できればと考えました」

 団塊世代が元気になれば、シニア層全体の活力にもなる。現役世代にとっても、年を重ねることに対する不安も減るのではないか。そんなメッセージが込められている。

 広告撮影時の中尾さんからも強い意志が感じられたそうだ。

「70代半ばにしてレオタード衣装を着こなすスタイルの良さや、11センチのヒールを履きこなし、難しいポージングの要求にも対応していただけました。終始カッコよく美しく、いくつになっても自分らしくありたいという強い意志を感じました」

 冒頭に登場したヨシコさんは、老いゆく自身の理想の姿についてこう話す。

「テレビなどで、自然体に颯爽と、気ままに生きている同世代の芸能人を見ると、こうありたいなと思います」

 グレていたって、煙たがられたっていいじゃないか。年を取ったらああいう人になりたい……そう言わせるような老人を目指したい。(本誌/秦 正理、鮎川哲也)

週刊朝日  2023年2月3日号

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