今、老人に対しての風当たりは強く感じる。少子高齢化もあり、世代交代が進まず、日本が好景気だったころを知る年代の人たちがまだまだ社会の中心にいる。「老害」という言葉がしばしば聞こえ、若い世代からは、老人は社会から退場せよというような声も聞こえてくる。

「国家的には老人は何も生産しないけど、のさばっていていい。若いことは価値じゃないし、退場してほしいなら若者がたたき落とさないと。自分から身を引くことはないし、私はのさばるよ。今でも子どもと『何言ってんだ』って言い合いしているし、そうやって次の世代とのバトルがないと人生に張りがなくなってしまうよね」

 古典を残した中国の詩人李白や思想家の孔子は晩年、隠遁生活を送ったが、現代人はオリジナルの老後を考えるのがいいと続ける。

「彼らは60代前後、70代で亡くなっているから、80代以降の生き方について参考にする古典がないんだね。だから自分なりの生き方を見つけるしかないわけ。私は、地域のお祭りで若い衆に煙たがられるくらいの生意気なじいさんでいるくらいがちょうどいいと思ってる。ほどよくグレて、自分本位で生きればいい。そんなんでいいんじゃないかな」

 そう言い残して嵐山さんは、街の中を背筋を伸ばしてスタスタと歩いていくのだった。

 歯に衣着せぬ発言で為政者にズバリ切り込むジャーナリストの田原総一朗さん(88)も、破天荒にオリジナルの生き方を貫く。

就職活動では朝日新聞やNHKなど大手メディアから全部落とされたけど、今思うと落ちてよかった。そういうところに入っていたら60歳過ぎたら定年で、今みたいに現役を続けていなかったと思う。生涯現役でいようと気を張っているからこそ、毎日3~4件の取材ができる。仕事がなくなったら一気に衰えちゃう」

■煙たがられても本音でぶつかれ

 30年以上続く討論番組「朝まで生テレビ!」では今や、ずっと年下のコメンテーターと激論を交わす。

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