そんな時の“お誘い”。見知らぬ扉を開ける勇気には伏線があったのだ。
「お肌の手入れを見直し、14cmのハイヒールに慣れるため踵立ちして歩くエアウォークをしたり……。でも一番大切なのは、ナチュラルな笑顔」
それが高く評価され。初出場でいきなり「フォーエバーヤング賞」を受賞。「意外な展開に、周囲より私自身がビックリ」したという。扉の先で出会ったのは、順風満帆に過ごしてきた人だけでなく、むしろデコボコの人生を明るく乗り越えてきた魅力的な女性たちだった。
「皆さん前向きで、とにかく元気がいい。パワーをもらえますね。しかも20代30代の若い人たちが熱心に社会貢献に取り組んでいるのも、目から鱗が落ちる思いがしました」
村山さんにとって、ミセスコン出場はどこが魅力なのか?
「非日常性です。大会は演劇の舞台で、1分間ですが私が主人公。この凝縮された60秒のために日々自分を磨いてますから、年齢を考えてる暇なんてないんです(笑)」
この日の大会には、2人のトランスジェンダーが参加した。「山梨のトランスジェンダー鍼灸師」小山凛子さん(40)と、西東京市でビューティーサロン「Charis(カリス)」を経営しているメイクアップアーティストのMIOさん(31)だ。
目にも鮮やかなエメラルドグリーンのドレスに身を包んだMIOさんがランウェーを歩き出すと、「きれい」「素敵」という感嘆の声が会場内のあちこちから聞こえてきた。そしてスピーチタイム。大学3年生だった8年前にカミングアウトしたことを話し、「当時はまだ偏見や差別が多い時代でした。だったら、私が社会を変えてやる! そう思ったんです。私はLGBTQで困っている人、悩みを抱えている人、世界の人たちに勇気を与えたい。こう思ってミセスオブザイヤーに出場することを決めました」と語りかけた。
MIOさんは大阪生まれ。幼稚園に通う頃から心と体に違和感を持っていた。