週刊朝日 2022年10月7日号より
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 金融機関も、こうした市場の動きと無縁ではいられない。預金で集めたお金は、企業や個人への貸し出しだけでなく、国債や株式といった金融商品で運用しているからだ。それぞれの地域で身近な地方銀行とて、例外ではない。地銀など地域金融機関への運用助言を手がける和(なごみ)キャピタル(東京都千代田区)の専務、伊藤彰一さんが言う。

「地銀は、特に日本銀行がマイナス金利政策を導入して以降、比較的金利の高い外債や、外債を組み入れた投資信託の運用に力を入れてきました。それまで運用の中心だった貸し出しや国債では十分な利益が得られにくくなったことが大きい。その結果、以前に比べて海外の金利高や株安といった多様な『市場リスク』にさらされやすくなっています」

 最近の金融市場の変化は、地銀にどの程度影響を与えているか。その一端を探るため、今回、全国の地銀の有価証券の運用状況を調べてみた。

 地銀は、保有する国内外の株式や債券といった金融商品のうち、時価で評価する必要のある有価証券の含み損益を、決算短信などの開示資料で「その他有価証券」の評価損益として開示している。

 その他有価証券は、国内株式が「株式」、日本国債や国内企業などの債券は「債券」、海外の債券や株式、投資信託は「その他」の三つに分類され、それぞれの含み損益を合計して計算する。

 全国に99行ある地銀の含み損益を集計したところ、直近の6月末時点で計約2兆5千億円の「含み益」を抱えていた。ただし、3月末の約3兆9千億円からは1兆4千億円減らしている。

「含み損」を抱えていたのは42行。前出の伊藤さんによると、2008年のリーマン・ショック時に匹敵する規模だという。3月末時点では14行で、3カ月で28行が新たに含み損に転じた。

 この42行の中で含み損が最多となった広島銀行(広島市)は303億円。3月末には15億円の含み益があったので、この間の評価額のマイナス幅は318億円になる。2番目に多かった山陰合同銀行(松江市)の下落幅は約400億円、3番目の栃木銀行(宇都宮市)は約113億円だった。

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