そして、野田氏の行動が「礼を尽くす正しいあり方」というのにも、あたしは首を傾(かし)げる。
野田氏が安倍元首相に追悼の意を捧げたいというのであれば、なにも国葬という場でパフォーマンスをしなくてもいい。手を合わせたいという気持ちを遺族に告げたら、それは叶(かな)えられただろう。
そして、今回の行為は、応援してくれる者たちに対し、礼を尽くすということとは真逆の行為である。
こうでもしないと野田氏、もう名前も上がらないもんね。人生観というより、肥大した承認欲求ではないか? 尊敬できない。と、思うのもあたしの自由。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年10月7日号