内閣府によると、年齢が下がるほどワクチンの接種率は下がり、5~11歳で2回の接種を終えた子どもは2割にとどまる。

AERA 2022年10月3日号より
AERA 2022年10月3日号より

 日本小児科学会は8月10日、5~17歳のワクチン接種についての考え方を発表した。以前からワクチン接種を推奨していた持病などのために重症化リスクの高い子どもに加えて、接種を積極的には推奨していなかった健康な子どもも含め、「5~17歳のすべての子どもに接種を推奨する」と変更した。

 背景には、オミクロン株流行による10代以下の感染の増加がある。感染者の実数が増えるに伴い、重症化したり、死亡したりする患者の実数も増えた。国立感染症研究所の調査では、今年1~8月に10代以下の41人が感染後に死亡した。17人(41%)は基礎疾患がなかった。

 日本小児科学会によると、オミクロン株以前は無症状の子どもも多かったが、オミクロン株になって、発熱する子どもが増えているという。

「子どもの場合、基礎疾患がなくても、発熱すると、時に熱性けいれんや脳症が起きることがあります」(中野教授)

 一方、海外のデータなどから、10代以下に対するワクチンの効果も明らかになった。日本小児科学会によると、オミクロン株も含め、重症化を防ぐ効果が40~80%程度あるという。中野教授はこう訴える。

「今ある予防手段のうちワクチンは重要なものの一つです。ワクチンを打てば100%脳症や熱性けいれんなどを防げるとは限りませんが、相対的にリスクは低くなります。入手できる予防手段を可能な限り使い、自分の子どもさんも周りの子どもたちも守ってあげてください」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年10月3日号より抜粋

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