日々の学習意欲や態度を評価する内申点。高校入試の合否に関係することから、学校ごとの評価のばらつき、子どもたちの育ちへの影響など問題点が指摘されている。AERA 2022年9月19日号の記事を紹介する。
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公立高校の選抜入試は、学力検査を受けて、その成績と内申点との合計点で合否を判定するというのが大枠だが、加えて自治体ごとに違いも見られる。
例えば、兵庫県では一般入試で公立校を2校まで志願することができるが、東京都は1校のみだ。内申点と当日の試験点数の評価割合も、兵庫県では内申点:試験=1:1だが、東京都の場合は内申点:試験=3:7という割合で得点が計算される。
内申点の計算方法も異なる。兵庫県は美術や体育など実技教科は評定合計を7.5倍にして計算、東京都は公立でも国際系を謳(うた)う高校では、英語の配点が高くなる。地域や学校により制度が違うため、入試に向けてのリサーチはもはや大学受験並みだ。高校別に基準が変わる地域では、中学の担任よりも塾の方が情報を持っている場合も。ベースの勉強は学校、受験対策は塾でという流れを生み出す背景には、複雑な入試の仕組みも関係しているようだ。
当日の試験は一発勝負。体調を崩すこともあるため、何が起こるか分からない。評定が合否に用いられれば、日々の努力も合否判定に用いられるので「公平」だとの考えもある一方で、評価基準があいまいだという指摘もある。
■意欲は先生側にも問題
都内進学塾で講師を務める男性は「学校ごとの内申の付け方にばらつきがみられる」と話す。
男性の勤める塾では複数の中学から生徒がやってくるが、定期テストで同じような点数をとり、提出物などもどちらも抜かりなくやっているという場合でも、評定に差が出ることがあるという。
「評定が取りやすい学校とそうでない学校というのが明らかにあります」(講師の男性)
何をもって「公平」というのか定義は難しい。内申点が合否判定に関係するようになっていることで、子どもたちの育ちを懸念する声もある。