ケア前(左)ケア後(右)

 冒頭の池田さんは、眉頭の位置が左眉のほうが高い。その場合、高く飛び出た部分の眉毛を肌に近い色のコンシーラーで塗って目立たなくさせる。

「まずは片方に集中して理想の眉の形を整えましょう。それを基準にしてもう片方もメイクすると失敗が少ないです」(同)

 眉毛を抜いたり、剃ったりして整えるのは最終手段。まずはメイクで理想の眉毛を完成させてから、明らかにはみ出ているところだけ、最小限の手を加える。ただし、まぶたの上など不要な毛は抜いてもいいという。

「シニア女性は流行よりも、かつての自分の眉に近づけることを意識するといいですよ」(同)

 メイクの習慣があまりない男性の場合は、どうすればよいのか。メンズ眉毛サロン「エサージュオム銀座店」店長・北崎好海さんにケア方法を教えてもらった。

 主なお客は20~30代だが、50代以上も少なくない。シニアの男性は白髪や薄毛、突然生えてくる太くて長い毛に悩む人が多い。メイクに頼らない分、今ある眉毛をどう整えるかが決め手になるという。さっそく、同じ悩みを抱える本誌記者(60)に眉毛ケアを初体験してもらった。

 北崎さんによると、記者は会話をすると表情筋が動き、それに伴って眉頭が上がり、眉尻が下がる特徴があるという。

「眉全体をまっすぐに近づけて眉尻をカットすると、優しく爽やかな印象に変わります」

 同店では、肌に近い色のコンシーラーで眉の周りを塗って“眉毛の完成イメージ”を形作る。その後、不要な毛を脱毛ワックスや毛抜き、ハサミで処理し、形を整える。

「長さに左右差がある時は短いほうに合わせます。加齢で毛が薄くなっても産毛は生えているもの。眉毛の濃い部分を間引くと濃淡が均一化され、薄い部分が気にならなくなります」(北崎さん)

“完成形”に整えてもらうのは専門サロンにお任せするとして、その後のケアなら自宅でもできる。

「(完成形の)眉からはみ出した部分をカットする時は、心持ち太いかな、と思うところで留めたほうが無難です。眉頭は指1本分を目安に空け、余分な毛を抜きます。眉尻の下やまぶたの上も毛が生えやすいので、ここも抜きましょう」(同)

 男性もメイクの技を覚えておくと、格段に見栄えがよくなる。

「先が細いグレー系のペンシルを選び、眉の薄いところを埋めるように軽いタッチで描きます。指などでぼかすときれいに仕上がります」(同)

 仕上がりを鏡で見た記者は驚きの表情を見せた。

「毛抜きは相当痛かったけど、かなり印象が変わりましたね」

 記者の妻は、眉毛の変化に気がついたという。

「妻から何も言わなかったのは、私がよからぬことをしていると疑ったからかも(笑)。私から眉毛ケアのことを切り出すと、『優しそうになった』と褒めてくれました。今回を機に、自分で眉毛の手入れをするようになりました」(記者)

 眉毛一つで印象がいい意味で激変するのなら、やってみる価値はある。(ライター・吉川明子)

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