英国政府が実施している約53万人を対象にした調査の予備的な解析によると、感染した時にワクチンを2回接種しただけの人では、デルタ株への感染に比べ、オミクロン株への感染の場合、後遺症の起きる頻度が48.2%低かったという。

AERA 2022年9月19日号より
AERA 2022年9月19日号より

 一方、感染時にワクチンを3回接種していた人は、オミクロン株でもデルタ株でも後遺症の発生率には差がなかった。

Q:オミクロン株とそれ以前の変異株で、後遺症の症状は違いますか。

A:東京都によると、オミクロン株への感染では、咳や倦怠感を訴える人が増えている。一方で、嗅覚障害や味覚障害、脱毛を訴える人は減っている。

 東京都は、都立・公社病院のコロナ後遺症相談窓口に21年3月30日から22年4月30日までに寄せられた相談のうち、22年の相談者2039人をオミクロン株への感染者、それ以前の3857人をデルタ株以前の変異株への感染者として分析した。

 その結果、咳を訴えた人はデルタ株以前は22.2%だったのが、オミクロン株では38.6%に、倦怠感は26.0%から34.0%に増えた。一方、嗅覚障害を訴える人は30.4%から9.5%に、味覚障害は23.3%から10.6%に、脱毛は9.4%から0.8%に減った。

Q:感染した人のうち、どれぐらいが後遺症を経験するのでしょうか。

A:調査により発生頻度は異なる。発症12週間後に3割程度の人に後遺症があるとみられる。

 後遺症の発生頻度を調べた海外の論文45本の系統的な分析では、診断や発症、入院の2カ月後、あるいは退院や症状が回復してから1カ月後に何らかの症状を訴えていた人は、調査対象の患者9751人の72.5%いた。

 また、海外の57報告の系統的な分析では、報告対象になった約25万人の54%に何らかの症状が残っていた。

 一方、英国政府の調査では、症状のある感染者約7万6千人のうち、何らかの症状が12週間以上続いた人は37.7%だった。

Q:感染しても軽症なら、後遺症は出ない?

A:東京都によれば、後遺症のために相談を寄せる人や、外来を受診する人の中で最も多いのは軽症者。軽症だから後遺症が出ないとは限らない。一方で、より重症の人は、後遺症が長く続く傾向がある。

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