都立・公社病院の相談窓口に相談を寄せた人のうち、オミクロン株に感染したとみられる2039人の97%は軽症以下で、肺炎になったり、酸素投与が必要だったりした中等症以上の人は3%だった。デルタ株以前でも、相談者3857人のうち86%は軽症以下だった。
また、相談だけでなく実際に外来を受診した230人についても、54%が軽症、中等症は15%、重症は3%だった。
一方、厚労省の研究班の総括研究報告によると、20年1月~21年2月の間に入院した18歳以上の感染者1200人を対象にした複数回のアンケートの分析では、酸素投与や人工呼吸器などによる酸素補給が必要だった、より重症度の高い人は、長期間、後遺症が残る傾向がみられた。
酸素補給が必要だった人では診断から6カ月後や12カ月後に何らかの後遺症があった割合はそれぞれ45.7%と36.1%だった。これに対し、重症度の低かった人では、37.7%と31.8%だった。
Q:重症度によって、後遺症の症状は変わる?
A:厚労省の「罹患後症状のマネジメント」によると、筋力低下や息苦しさは、肺炎になった感染者に起きやすいという。
Q:若ければ、後遺症は出ない?
A:若くても後遺症を経験する人は少なくない。
後遺症のために都立・公社病院を受診した230人のうち、30代以下が39%、40代が23%だった。相談窓口への相談者5896人についても同様の傾向がみられた。
Q:どんな人に後遺症が起きやすいのですか?
A:不明な点も多いが、もともと喘息など呼吸器や、自己免疫疾患の持病のある人、高齢者、肥満の人に起きやすいという報告がある。
Q:後遺症にはどう対処すればいい?
A:後遺症がひどい場合には、症状を緩和するための対症療法を行う。
自治体が相談窓口を設けているほか、サイトなどで後遺症専門外来のある病院を紹介している。心配な人はまずは自治体の窓口に相談してみよう。
Q:後遺症は時間が経てば、治りますか?
A:厚労省の研究班や東京都などによると、時間の経過とともに症状は改善する人が多い。ただし、12カ月後にもまだ症状が残っている人もいる。
Q:後遺症を防ぐにはどうすればいい?
A:最も効果的な予防法は感染しないことだ。感染した場合には、症状が治まってもすぐには無理をせず、疲労がたまらないように心がけよう。
ただし、まったく動かないと筋力が低下して社会復帰が困難になるので注意が必要だ。
英国政府などによると、ワクチン接種により後遺症の発生頻度や重症度は下がるという。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2022年9月19日号