大谷が活躍すればするほど、日米のメディアで過熱するのが今後の去就だ。エンゼルスは2015年から7年連続でプレーオフ進出を逃し、今季も61勝78敗(10日現在)と低迷。7月に入ると、チーム再建に向けて大谷をトレードに出すかどうかが注目された。ヤンキースなど10球団以上が獲得に名乗りを上げたが、エンゼルスが打診を断ったことが複数のメディアで報じられた。
■今オフの可能性は低い
そして、激震が走ったのが8月23日だった。エンゼルスのアート・モレノ・オーナーが球団の売却を検討することを発表した。モレノ・オーナーは「この決断は非常に難しく熟考したが、私と私の家族は最終的に今がその時との結論に至った」と球団を通じて声明を発表した。
「モレノ・オーナーは大谷をトレードで他球団に出すことを断固拒否していたと言われています。球団売却を以前から考えていたとすれば、大谷がいるのといないのでは球団の市場価値がまったく変わってくる。新しいオーナーは大谷を中心としたチーム作りを当然描くでしょうし、資金を捻出して大型契約を提示するでしょう。大谷サイドの反応次第ですが、今オフにトレードの可能性は低いのではないか」(スポーツ紙記者)
大谷が渇望するのは勝利だ。来年オフにフリーエージェント(FA)権を取得する。プレーオフ、ワールドシリーズの舞台でプレーしたいという思いは当然強いだろう。一方で、エンゼルスに対する愛着も強い。日本ハム時代から大谷を取材する記者は、こう分析する。
「エンゼルスは居心地が良いチームだと思う。二刀流もエンゼルスだからできている部分がある。他球団だと起用法にいろいろ制限が出てくるかもしれない。大谷の性格を考えると、自分がエンゼルスを勝たせたいという思いはあるだろう。チームが納得する強化策を出せば今オフに長期契約を結ぶ可能性がある」
シーズン終了後もその動向が注目される。
(ライター・梅宮昌宗)
※AERA 2022年9月19日号