ふくらはぎの筋肉がつって激痛が走る「こむら返り」。数分で治まるとはいえ、寝ている時に突然あの痛みに襲われるとたまらないもの。どうしてこむら返りは起きるのか? なんとかして回避する方法はないのか? 足のプロに聞いてみた。
【図表】自宅で手軽にできる『こむら返り』予防の3ステップはこちら
* * *
“ヤツ”は突然現れる。しかも睡眠時という無防備で安らかなひとときに! ふくらはぎに激痛が走るが、なすすべもなく痛みが去るのをひたすら祈るしかない。こむら返りの苦しみは誰もが味わったことがあるだろう。
専門医院「足のクリニック表参道」(東京)の桑原靖院長が解説する。
「こむら返りは、何らかの原因で、自分の意思とは関係なく筋肉が痙攣(けいれん)を起こして収縮した状態を指します。医学用語では『筋痙攣』と呼ばれます」
「こむら」とは古い言葉でふくらはぎのこと。ふくらはぎに起きる筋痙攣をこむら返りと呼ぶが、足先や手など、ふくらはぎ以外でも起きる。
「水分不足、血流不足、ミネラルバランスの崩れ、体の冷えといった内科的な理由と、筋肉量の低下、筋肉疲労、運動不足など身体機能的な理由があります」(桑原院長)
覚えておきたいのは、今まさに痛みに襲われている時の応急処置法だ。同クリニックに勤める理学療法士の久保和也さんが教えてくれた。
「痛みが発生している時は筋肉が縮こまった状態なので、これを伸ばせば治まります。痙攣しているほうの足を伸ばして、指先を体のほうに向けるのです。手で指先を持って引っ張ったり、タオルをつま先にひっかけて引っ張ったりすると効果的ですが、寝ている時は難しいと思います。その時は足の指先を体のほうに向けるだけでもかまいません」
こむら返りは、夏に起きる頻度が高いといわれている。それは暑さで大量の汗をかき、ナトリウムやカリウムが必要以上に排出されやすいからだ。9月に入ったとはいえ、まだまだ暑さは続く。水分不足にも陥りやすいため、こまめに水を飲むのも大切だ。逆に、冷えもこむら返りの原因になる。血流が滞り、筋肉がつりやすくなるからだ。