『あくてえ』(山下紘加 河出書房新社)
『あくてえ』(山下紘加 河出書房新社)
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 猛暑が一段落し、夜風が涼しい季節を迎えた。食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋の到来だ。そこで本誌は北海道から沖縄まで全国47都道府県にゆかりの“ご当地本”を大特集。地方出版社ならではの良書を中心に、それぞれの地元書店と大型チェーン店の“目利き”“カリスマ”書店員に1冊限定で選んでもらった。今回は北海道、東北・中部地方の17冊を紹介する。

【画像】北海道、東北・中部地方の“ご当地本”はこちら

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【北海道】余命宣告後をどう生きるか? 名エッセイスト・写真家の遺作
『キャンサーギフト 礼文の花降る丘へ』(杣田=そまだ美野里 北海道新聞社)1760円

ジュンク堂書店旭川店/MARUZEN旭川店(旭川市) 三上裕文店長

 36歳のとき東京から家族で北海道・礼文島に移住した杣田さん。彼女はこれまでに、礼文島の自然を題材にした本を10冊以上出版していました。

 手つかずの自然が残る礼文島の美しい写真とエッセーで綴られた本作は、著者が「肺がん」で医師から余命宣告を受け、残りの命と向き合いながら作った渾身の書です。

 残念ながら出版から2カ月後、2021年10月にお亡くなりになりましたが、本作を眺めていると、今この瞬間もしたたかに美しく咲く花の一生を感じながら、人の命の刹那と永遠につながる命を感じる、そんな一冊です。

【青森】異界、怨念、怪異。そして実話 江戸時代から伝承される全98話
『青森県の怪談 復刻改訂版』(北彰介編 白神書院)1320円

成田本店しんまち店(青森市) 相馬大輔店長

 貴重な幻のベストセラーがよみがえる。

 青森県民に愛された県内各地に伝わる怪談話の集大成が、40年の歳月を経て完全復活。八甲田山雪中行軍や円山応挙の幽霊画、恐山など、藩政時代から現代まで今も語り継がれる全98話を、より幅広い年齢層で楽しめるようにルビ付きで復刻再編集した作品です。

 怪談好きにはもちろんオススメなのですが、昔懐かしいこの昭和初版の怪談話、若者にもぜひ手に取って読んでもらいたい!

 青森県の歴史も振り返りながら、楽しむことのできる一冊です。

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