【山形】地元作家が丹念な取材で追いかけた波瀾万丈! 老舗百貨店の栄枯盛衰史
『さよならデパート』(渡辺大輔 スコップ出版)1980円
八文字屋商品部(山形市) 鳥谷部(とりやべ)昭子さん
2020年、江戸時代にルーツを持つ大沼デパートが突如、廃業したことは山形県民にとって大きな衝撃でした。その後、山形は“百貨店ゼロ県”になりました。
本書は、創業320年の大沼の閉店に至る歴史を背景に、山形市中心部に存在した数々のデパート、スーパーの栄枯盛衰を描いたノンフィクションです。
所々にちりばめられた“取材手帳”がよりリアルに、そこに関わってきた人々の息遣いを伝えています。
緻密な取材と調査により、生きた商業史を感じさせる見事な一冊です。
【福島】会津若松に拠点を置く出版社の入魂!! ベストセラー幕末史
『会津藩と新選組 (改訂新版)』(歴史春秋出版)1650円
昭和堂書店(白河市) 鈴木雅文社長
歴史ファンなら外せないテーマ「幕末」。わが福島県人からみれば、幕末イコール藩主・松平容保率いる会津藩の歴史と言って差し支えないでしょう。その会津藩と言えば新選組との関係と相場が決まっています。今も昔もファンの心を掴んで離しません。
本書は、カラー写真を盛り込んだ幕末会津史ですが、新選組の生まれた京都の動乱、会津戦争など、新選組を通して会津藩との関わりについてまとめた一冊です。
個性の強いキャラクターが多いので「推し」を探すのも楽しいかと思われます。
【新潟】新潟日報の人気連載を書籍化 銘酒44蔵の歴史と酒質に迫る!!
『にいがた酒紀行 上巻』(新潟日報社)1980円
萬松堂(新潟市) 中山英さん
新潟を代表する清酒は数えきれないほどあるが、それを造っている酒蔵のことは、さほど知られてはいない。それは、特定の選手だけ好きで、チームのことはよくわからない、にわかファンと同じである。
酒好き新潟県民は、酒蔵を知ることこそ、清酒のうまさをより引き立てると心得ている。酒場で、その蘊蓄を語る人たちを目にすることが実に多い。本書は、伝統を守りつつ、新しい挑戦を続ける杜氏と関係者の情熱に溢れている。さて、今宵はどの酒蔵の清酒をいただこうかな。