患者数が増加している帯状疱疹。新型コロナウイルスの感染拡大以降、さらに増えて静かに流行中という指摘もある。特に問題なのは、発疹が治ったあとも、長期にわたって痛みに悩まされるケースがあることだ。
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「あのときは仕事を辞めるつもりでした」と話す横浜市在住の中島正雄さん(67歳・仮名)。今年2月に帯状疱疹を発症し、ベッドから起き上がれないほどの痛みに苦しんだ。最初に右側の腰に痛みを感じたのは、ゴルフに行った翌日だった。
「アップダウンのあるコースを走ったので、そのせいかと思って貼り薬を買いました。そのとき薬剤師さんに『皮膚がかぶれるかもしれない』と言われたんです。翌日から本当にかぶれてきたので、今度はかぶれの薬を買って塗ったのですが、全然よくならない。痛みも強くなっていきました」
中島さんが皮膚科を受診したのは、最初に腰痛を感じてから1週間後。そこで帯状疱疹と診断された。
帯状疱疹は、からだに帯状の発疹が出現する病気で、発疹が出る数日前から痛みを感じる。原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」の感染で、10歳までに感染することが多く、初めて感染したときには水ぼうそうとして発症する。水ぼうそうが治ったあともウイルスは体内に潜伏し、何らかの原因で再活性化すると、帯状疱疹を発症する。
水ぼうそうにかかったことがある人は、誰でも帯状疱疹になる可能性があるが、リスクが高いのは免疫力が低下している高齢者や抗がん剤治療中の人、関節リウマチなどの膠原病で免疫抑制剤を使用している人だ。過労やストレスが引き金になることもある。
治療の中心は、抗ウイルス薬(「アメナメビル」など)と痛み止め(「アセトアミノフェン」や「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」)だ。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を防ぐ作用があるが、現時点で活性化しているウイルスを抑えるわけではない。できるだけ早く服用し、新たにウイルスがつくられるのを抑え込むことが重症化を防ぐカギとなる。理想は発疹が出て3日以内の服用だ。