例えば、児童手当の額は、世帯主の年収によって月額が定められていたが、22年秋には、年収1200万円以上の家庭は給付自体が打ち切られた。
その状況下で東京都が率先して打ち出した「稼いでも安心して子育てができる」という強いメッセージ性は、政治姿勢としては大きな転換に値する。ただ、その意図はあまり国民に伝わっていないとも末冨教授は言う。
「自民党の子育て政策は芯がなく、子育て世代間の分断を生んできた。5千円給付という数値ばかりにとらわれるのではなく、子どもを社会全体で支えていくというメッセージを政治がどこまで出せるかが大事。意識が変わって制度が変わるのではなく、制度が変わることで、私たちの意識は変わっていくと思います」
まずは、子ども自身を大切にすることをベースとし、その上に他の支援を上乗せしていく。今回の都の給付表明は、そのファーストステップになる。(フリーランス記者・小野ヒデコ)
※AERA 2023年1月23日号