■御(おん)の字
あまりに素晴らしいので「御」の字をつけたい!

「御」は、「御身」や「御自ら」のように、敬語をつくるための接頭語です。特に、優れたもの、最上のものを表す際に用いられます。その「御」の字をつけたいほど、優れたもの、ありがたいものという意味から転じて、「大いにありがたいこと」を「御の字」というようになったのです。「一応、納得できる」という意味で使われることも多いようですが、正しい使い方ではありません。

■席巻(せっけん)
「むしろ」を巻くように領地を攻め取っていく

「席捲」とも書きますが、「席(せき)を巻く」と考えると、何のことだかわかりません。しかし、「席」という字は、建物の中に敷物の「むしろ」を敷く形が元になっていて、「むしろ」を表しています。「席巻」は、紀元前に中国を統一した秦の役人が、片っ端から領地を攻め取る様子を、むしろを巻き取る動作に例えた言葉なのです。転じて、圧倒的な勢いで自分の勢力範囲に収めることの意味になりました。 

監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)
文/美和企画
※『みんなの漢字』2019年3月号から

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