こぼれる笑顔がとても華やか。声の可愛らしさと相まって、瑞々しい印象だが、会話の端々に「恐ろしい」とか「怖い」という単語が顔を出す。

「舞台はライブ……つまり実生活と同じ時間が流れるでしょう? 私は、自分のことが信用できないから、本番で失敗しやしないだろうかと今から恐ろしくてたまらない。舞台を好きな人は、『そこを楽しめばいい』って言うんでしょうけれど、若い頃から舞台をやって、舞台の怖さが身にしみて“わかって”しまった。“わかる”って、つまり怖さも込みで理解することですから。物事の仕組みが少しずつわかっていって、その結果、いろいろなことに臆病になってしまったんです」

 若い劇団員だった頃は、稽古のたびに人格を否定されて生きていたこともあり、大人になってからは、インタビューを受けるのが怖くなってしまった。

「一応、平気そうに振る舞うんですが、自分のことをお話しするのが怖いんです。セリフ以外を言うのが怖い。恐ろしくて面白い人生は、ドラマや映画だけで結構でございます、という感じ。お金もセンスも知性もないとなると何を話せばいいのか。途方に暮れてしまいますね。若い時期は、劇団の先輩たちにどんなにケチョンケチョンに言われても、挫けずにやっていたのに。ずいぶん弱虫になりました」

 劇団時代には、何をやっても周りから「面白くない!」と言われるばかりだった。

「でも当時は、若くて無謀で根拠のない自信があったから、『フン!』って。そういう鼻息の荒さがあったことは、演劇に向いていたのかもしれない(笑)。結局、私も『芝居をやる』という選択をして、今に至っているわけです。『怖い怖い』なんて言ってますけど、私、演劇や芸能をすごくいい職業だと思っているんです。たとえば今回の舞台のように、沖縄の歴史に触れ、学ぶことができる。世の中で燻っている問題を、あらためて考えるきっかけにもなります。この年になっても、さまざまな人生の疑似体験ができて、それが心の鍛錬になって、心の持ち方を学ぶことにもつながる。もちろんお芝居をすることは怖いですし、苦しいこともあります。ただ、やるからには、劇場を出た後もお客様に何か影響を与える、記憶に残る作品になったらと思いますね」

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