――鎌倉時代という舞台については?
ドラマのベースには史実というものがあって、それを見るとやはり、なかなか陰謀が渦巻いていた世界ですよね。でもそういう歴史があって、自分たちが今ここにいられるんだなっていうのを、今回も演じていて強く思います。一概に、そのドロドロした人間関係などを「醜い」と見るのではなく、その裏には、それぞれに苦しみや悩みがあったと考えたいし、人間にとって避けられない道だな、というのを僕自身もすごく感じますね。
演出側の方々とも「今回は先を見越してつくらず、ジャズのセッションのように、突発的に生まれてくるものを大事にしましょう」という話をしています。義時も、もちろん自分が執権という最高の権力者になるなんて、まったく分かっていなかっただろうし、歴史の流れに振り回され、翻弄されつつも成長していって、権力を握るまでの過程を観ていただきたいと思います。
――ロケもあったようですが、いかがでしたか? ほかの見どころなどもぜひ。
ロケでは合戦シーンもたくさん撮影しました。その戦いを通じた義時の成長も感じてほしいですね。たとえば、最初のころは義時もまだ全然戦えないんですが、石橋山の戦いで負けてから、段々と戦に慣れていって、いわゆる源平合戦に入っていきます。先々の戦いで、馬で駆けながら矢を射るシーンでは、ずっと練習してきたものを出せたので、そこもぜひ観ていただきたいですね(笑)。
話としては、とくに第15話あたりから一気に物語が加速していく感じがします。15話まで観ていただいたら「この後、どうなっていくんだろう?」と、ずっと気になる展開が続くと思うので、先は長いですが、ぜひ見守っていただければと思います。
キャストでは、やはり坂東彌十郎さんが演じられる北条時政は「いいキャラクターだなあ」と見ていて思います。それと、共演シーンもあったなかで菅田将暉くん演じる源義経も素敵ですね。
三谷幸喜さんの脚本は、いつもすごく面白いですし、その着眼点に興味を惹かれるんですが、今回とくに去っていく人の美学が、すごく格好よく描かれているんですよね。僕は物語の最後まで去りませんので、みなさんが去りゆく姿を、いいなあと思いながら見送っています(笑)。まだまだ撮影は終わりが見えませんが、僕自身もオンエアを心待ちにしています。
(インタビュー構成/上永哲矢)