ゲームオーバーのテトリスのようなデスク!(『オンエアできない!女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』/朝日新聞出版)
ゲームオーバーのテトリスのようなデスク!(『オンエアできない!女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』/朝日新聞出版)

 合コンや恋愛の駆け引きって、技術が凄く必要。それができる人って凄いってずっと思っていた。「合コン技術を競うオリンピック」という企画も考えましたね。そういう企画書を出すたびに、先輩から「それは、放送できないよ」と言われる……多分、面白いというベクトルが他人とズレていたんだなと、今は思うんですけれど(笑い)。

■犬が放たれている……制作局に異動して浴びた「洗礼」

 入社して最初の配属先は、アニメのビジネスまわりやプロモーションまわりを担当する部署でした。アニメ関係の仕事をしていた、というと「その経験が、漫画に生きているんだね!」と言われることもありますが、そこでの私の業務は「間違いなく配分計算をする」とか、「契約書案をきちんと確認する」などの比重が大きかったです。そんな仕事を2年して、3年目から制作局へ異動しました。「制作に行きたいです!」と言い続けて、企画書も出していたことが実を結んだと思います。

 社内でもアニメ事業部は、きちんとした部署でした。ボードに出社時間を書くし、戻り時間や所在がちゃんとわかる。でも、制作局は違う文化。初日、挨拶しようとフロアに行くと誰もいない。皆が何時に出社するのかわからない。そして、フロアに犬がいたことは本当、びっくりしました。「犬」ですよ!? 犬が放たれている会社、ありますか? 冷蔵庫には賞味期限が切れた飲み物が入っているし、わけのわからないグッズが山積みだし。洗礼を浴びた感じはありました。

■デスクでの仕事はセクシー座りで

 制作局はデスクも汚いですね、まあ、私の机も汚かったですが(遠い目)。ペーパーレス時代ではなかったので、書類は全部、紙でしたし。ADの仕事は、会議の前に大量のコピーをとることから始まるような時代でした。機材もハードディスクも、今よりも大きいし重い。百均で買った、わけのわからないものとかを机の下に詰め込むから、足が机の中に入らない。結果、セクシー座り(斜め座り)で仕事をする。もちろん、失敗をすると怒られましたが、人間は嫌な記憶から消えていくんでしょう(笑い)。

 実体験で大変だったのは、テレビでよく見る「当時の写真」ですね。ADになるまでは何気なしに見ていましたが、こういう写真は図書館に行っても見つからない。その町に住む人に、お借りするしかない。だから、1軒1軒ピンポンして「すみません、この辺りの昔の事情って知っていますか」と尋ね歩く。

 そもそも私は人見知りだし、「この辺りの古い写真を集めている」って、不信に思いますよね(笑い)。画面には3秒ぐらいしか映らないのに、「このお祭りの写真、お借りしてもいいですか」と、うろうろと探す。多くの方の協力がないと番組はできないんだなと本当、思いました。

 あと、ガラスのコップを300個集めるのも、キツかった。何に使ったかというと……ADだからこそ体験した話は、後半へ。

(取材・文/長谷川拓美)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年Amazonプライムデー開催間近!いつから開催か、おすすめの目玉商品などセール情報まとめ。