若々しくいるためには秘訣がある。若いころのような無理を重ねれば、体に響く。体の変化にどう向き合っていくべきか、トリノ冬季五輪金メダリストの荒川静香さんと池谷敏郎医師が語り合った。AERA 2022年1月17日号は「体内年齢」特集。
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荒川:アスリートなので、体の変化を、常に「感じ取ろう」とはしています。トリノ五輪のときは24歳で、実はアスリートとしてのピークを越えて迎えた感覚がありました。体を追い込むほど強くなれると感じた年齢を経て、22歳頃から、疲れが取れにくくなっていました。対処をすれば、まだ疲れを残さずつなぐことができましたが、何とかなるのはやはり20代まで。30代を目前にしたあたりから、無理をすると「壊れる」と意識するようになりました。32歳で1人目の子どもを出産して体の変化もあり、「いままで通りにはやりきれない」と認めざるを得なくなったことも大きかったですね。手探りで「壊さないようにつなぐ」方法を探すようになりました。
■体の変化に気づく
池谷:体の変化に自分で気づくことは、大切なことだと思います。いつまでも20代の頃のように無理がきくと思い込んだまま、生活する人は多いんです。30代を過ぎて体や運動量は変わったのに、食生活は以前のまま。体形も変わって、体調も「あれ?」と思うことが増えてくる。
自分の変化にそこで気づけるかどうかが、わかれ目です。変える意識を持てず、「ダルいけど頑張って乗り切ろう」のまま、40代を過ぎれば、生活習慣病などの疾病につながりやすくなってしまいます。
荒川さんは「体調管理をしっかりする」という意識が続いている。だから、体の変化に対応できているのだと思います。本当に若々しくていらっしゃる。
荒川:疲れが抜けにくくなったら、要因や対処法は考えるようにはしています。私はお酒が好きなのですが、「何時までに飲み終えれば次の日楽だ」と気づき、それを守るようになりました。ただ、不調が起こるまでなかなか気づけないほうです。子育てに仕事にと日々目の前のことで必死になってしまいます。
池谷:小さなお子さんがいてお仕事もあって、いまが一番、大変な時かもしれませんね。