それでも改善しなければ、次に試すのが局所麻酔薬を注射するブロック療法だ。背骨の後ろの神経の外側に注射する硬膜外ブロックや、背骨の関節部分や神経の周りに注射する椎間関節ブロック、神経が枝分かれした部分に直接薬液を入れ神経の状態を確認する神経根ブロックなど、いろいろな種類があり、症状に応じて使い分けられている。1回~数回打つと劇的に改善する人もいれば、あまり変わらない人もいるという。

「私がおこなっているブロック注射は、99%が神経根ブロックです。なぜかというと、少ない薬液で効果を得られることと、神経の症状がある人がどこの神経が悪いのかがわかるからです。ただし非常に痛いものなので、何回もできるような注射ではありません。多くても2、3回だとお話ししています」(田中医師)

 そうした保存療法を試しても改善しない場合や、仕事など日常生活に大きな支障が出てきた場合に、手術が検討される。特にまひなどの神経症状や膀胱障害が出た場合は、手術が必要だ。

 田中医師は、手術を受けるかどうか悩んでいる人へのアドバイスについて次のように語る。

「背骨の病気は、たとえ全く同じ症状・病態でも、病院によっておこなう治療が異なることが多いのです。手術にもいろいろな方法があり、それぞれに良い面と悪い面があります。担当医師の話をよく聞いて、自分のニーズに合う治療法を決めていただきたいと思います」

 手術は大きく分けると、神経の圧迫を取り除く除圧術と、除圧に加えて背骨を金属などで固定する除圧固定術の二つがある。

 また、からだを切開するサイズや輸血量、手術時間、骨を削る範囲といった、手術でからだにかかる負荷の総称を「侵襲」というが、低侵襲をうたう手術には定義がないので、その内容をよく確かめる必要がある。

■末梢動脈疾患(PAD)の場合は動脈硬化の治療も

 腰痛・足のしびれや痛みを起こすもう一つの代表的な病気が、手足の血管の動脈硬化により血流が悪くなる末梢動脈疾患だ。以前は閉塞性動脈硬化症や下肢慢性動脈閉塞症と呼ばれていたが、現在はまとめて末梢動脈疾患と呼ばれている。

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