杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat
杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat

■悩んでいる自分を「他人事」で見てみる

 心理学の言葉で、「メタ認知」というものがあります。

 自分を他人の目から見るように、客観的に俯瞰してみることを言います。

 もう1人自分がいるように想像し、悩んでいる内容を、「自分事」ではなく「他人事」として捉えてみると、感情的に捉えていたことを、落ち着いて冷静に受け入れることができるのです。

 そんな受け止め方の違いを示した、ウィスコンシン大学マディソン校でマーケティングを教えるエバン・ポルマン准教授らによる、こんな実験があります。

 ある二つのチームに、問題を出しました。

「囚人が高い塔から逃げようとしているところ、部屋の中にロープを見つけました。しかしロープは地面に降りるための、半分の長さしかありません。一体どうしたらいいでしょうか?」

 というものです。

■「自分事」で考えると正解率が落ちる

 このとき、一つ目のチームには、「ある囚人の話」として問題を出しました。

 二つ目のチームには、「その囚人は自分である」という設定にして、話をしました。

 すると、結果として一つ目のチーム内では66%もの人が、すぐに問題に答えることができました。

 しかし、自分事に捉えた二つ目のチームの内では、48%、つまり半分以下の人しか、すぐには問題に答えることができなかったのです。

(ちなみに正解は、ロープを縦に切って結び合わせ長くする、だそうで……。私も答えられませんでした。ロープって縦に切れるものなのですかね? 答えられなかった言い訳じゃないですけれども)

■「自分の話」ではなく「ママ友の話」で考えてみる

 ともあれ、この実験から、自分が何か困ったことに直面しているときは、一度、自分ではなく「他人の話」として捉え直してみると、思考の枠が広がり、解決策が浮かびやすいことがわかります。

 もしママ友から、「うちの子が『勉強しなさい』と言ってもなかなかしてくれないの」と相談されたと想像してみてください。

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