都内の私立大学に通う4年生だという。地方から東京に出てきて、友人とルームシェアをしている。生活費は飲食店でのバイトで稼いでいたが、コロナ禍でバイト先が時短営業になり収入は月5万円近く減った。親には学費も出してもらっているので、これ以上は頼れない。少しでも出費を減らさなければと思っていたところ、ツイッターで食料配給を知ったという。
しかし、1人で並ぶにはハードルが高いので、ルームメートを誘った。女子大生は言う。
「めっちゃ、緊張します。1人だと来なかったと思います。でも本当は、現金支給など国がもっと支援してほしいです」
同じ日の夕方。東京都豊島区の東池袋中央公園では、NPO法人「TENOHASI」が炊き出しを実施した。月2回、食料の配給などを行うが、この現場にも、ギリギリのところで生きている女性たちの姿があった。事務局長の清野(せいの)賢司さんは、「異常事態だ」と話す。
「特に国は、家をなくしたり家賃が負担になった人への支援が薄い。日本には大量に空き家があります。その空き家を活用し、住宅の現物支給として貸し出す仕組みが必要です」
■冬物ジャンパーほしい
列に並び、ネットカフェで寝泊まりしているという50代女性が取材に応じてくれた。
コロナのあおりで仕事を失い家賃を払えなくなり、生活保護を受けるようになった。ネットカフェで暮らすようになったのは1年ほど前から。働きたくても、スマホがないので仕事を見つけるのは難しい。この日は食料の他、冬物のジャンパーをもらった。寒くなったのでどうしてもほしかったのだという。
「本当は部屋を借りたいけど、敷金や礼金を考えると無理です」
今夜も、ネットカフェに寝るのだという。(編集部・野村昌二)
※AERA 2022年1月24日号