プロレスラーは、前田日明以外はほぼ対戦してるからなぁ。前田と対戦がないのが、俺のレスラー人生で唯一の心残りだ。本当に、チャンスが無かったなぁ。他はいろいろな団体の選手と戦って、他団体にしゃぶり尽くされて、今じゃあ天龍はすっかり骨と皮だけになっちゃったよ!(笑)
そんな前田とは2月にトークバトルで対戦することになっているんだ。前田は自分を持っている、自分の考えで生きている人という印象。彼は本をたくさん読んだり、いろいろ勉強した上で、自分のポリシーをしっかり持っているから好きだよ。人の話にグイグイかぶせて来たりね(笑)。それがプロレスファンに前田信者がいる理由でもあるんじゃないかな。
前田はプロレスの余分なもの省いて、UWFを立ち上げて世間に浸透させたということを自負しているよね。アントニオ猪木さんにとやかく言うやつがいても「俺はアリと戦った」と言われたらぐうの音も出ないだろう!? プロレスだけでなく、他のスポーツ選手もみんなそういうものを求めてやっている。野球だったらMLBでプレーした、サッカーだったらワールドカップでゴール決めたとか、スポーツ選手はみんなそういう実績や自負を求めて追及している。前田もさまざまな実績があって、それが今の彼を支える自信にもなっているよね。
俺だってハルク・ホーガンのアックスボンバーやスタン・ハンセンのウエスタンラリアット、ブルーザー・ブロディのキングコング・ニードロップを真っ向から食らってやり合ったという自負があるからね。今でこそ自信になっているが、当時は特にハンセンのラリアットとブロディのニードロップは、どちらも食らうとダメージが大きく、本当に怖かったよ。
ハンセンはとにかく突進してくる馬力がすごいし腕も太いしで、バチーン!と首を持っていかれるような感覚だ。ブロディのニードロップも衝撃がすごく、体に電気が走ったみたいになって、息が詰まって“今、下手に動いたら後遺症が残ってヤバいかも……”と思うほど怖かった。あいつは性格と同様にややこしい技をよく使ったもんだよ。