でも、私は文系です。理転する人は学内でもあまりいません。授業についていけるか、たくさんの先輩に相談しました。「やめなよ」と心配してくれる友だちもいました。
文系にも門戸は開かれているのだから、できるのかもしれない。そう思って工学部に入りました。たしかに橋の構造計算や流体力学の授業はありましたが、ダムを造るときは住民の合意形成も必要です。人文科学寄りの授業も多くありました。勉強してみたいことが、たまたま理系の学科にあったなと思います。
高校1、2年のとき、学校で紙が配られて、文系、理系の希望するほうにマルを書きました。あのマルが大きな分かれ道となりました。今となっては得意不得意だけで決めなくてもよかったのではと思います。
(構成/編集部・井上有紀子)
※AERA 2022年1月24日号