写真はイメージです(Getty
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 一種の洗脳ともいえるモラハラ。被害者は相手から離れることが理想だが、夫や妻などパートナーとなると現実はなかなか難しい。モラハラ被害にあっているかも、と思ったらまずは何をすべきなのか。また周囲はどんなかたちで支えるべきなのか。専門家にアドバイスを求めた。

【あなたは大丈夫?モラハラ チェックリストはこちら】

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 パートナーから受ける言動が「つらい」と感じたら、どうしたらいいのだろうか。本当にモラハラかどうか、悩むかもしれない。

 モラハラは被害の実態を説明しても、他人に伝わりづらい。例えば、静かなモラハラ。「本当にあなたはどうしようもないね」と静かな口調で非難したり、仕草やちょっとした言動を失笑したり、何も間違ったことをしていないのに、顔をしかめたりする。言葉では何も言わないけれど、顔を見ればため息をつく。身近な存在に毎日そうした言動を繰り返されると、人は徐々に追い詰められていく。しかし、それは他人には伝わりづらい。それどころか「あなたの気にしすぎ」と言われてしまうこともある。

 「カウンセラーが語るモラルハラスメント」などの著書があるカウンセラーの谷本惠美さんは、「モラハラなのかどうかというジャッジよりも、まずは自分がどう感じているかを大切にして」と話す。

「大切なことはジャッジすることよりも、傷ついている自分に気づいたなら、自分はどうしたいのかをしっかり見つめること。そしてこれからの自分の行動を、自分の意思で選択していくことです」

「自分の意思で選択した」という納得感が持てないままに加害者の元から離れると、後からさまざまな弊害に悩まされやすい。自分が想定しなかった事態に陥った時に、「あの時の選択は間違っていたのではないか」と激しい後悔を生んだりする。

 谷本さんは言う。

「誰かの意見で動いてしまった人の中には、『モラハラ環境にいた時より、今の方が辛い』と、加害者の元へ戻ってしまう被害者もいる。『あの時、あの人があんな風に言ったせいだ』と支援者やマニュアルの責任にして、愚痴や怒りを溜め込んだまま、無為に過ごしてしまう人もいます」

  そうならないためには、モラハラ環境の中で閉じ込めてきたものと、刷り込まれてきたものを見つめ、自分が今後どうしていきたいのかを考える必要がある。

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松岡かすみ

松岡かすみ

1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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