「東京都内の住家の耐震化率は92%まで上がり、都市は安全になっています。しかし、都の人口は増え、残り8%の住宅には高齢者が住んでいることが多い。山手線のすぐ外側に多いのですが、都内には都が認定している、木造住宅が密集していて整備の必要な地域が28カ所あり、その整備は終わっていません。ここに、23区の人口の約2割が住んでいます。高齢化が進んだことで、単身世帯も増加する傾向にあり、震災発生時の支援が課題となっています」(平田氏)
1923年の関東大震災の死者・行方不明者は約10万5千人。そのうち、約9万2千人は火災が原因だった。
関東大震災時に比べれば、都の地震対策は進んだのは間違いない。だが、対策が遅れている地域はまだまだ多い。
都が5年に一度作成している地域危険度測定調査の結果を見ると、葛飾区や荒川区など、山手線の外側で地震被害の危険度が高いことがわかる。
木造住宅密集地域では、全体の70%の建物で不燃化が達成されれば延焼が防げるとされている。19年度の28地域の平均不燃領域率は63.5%。東日本大震災直後の11年度に58.4%だったのに比べれば増えたが、目標の70%には届いていない。(本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2022年2月4日号より抜粋