日本時間の1月15日。南太平洋のトンガ諸島であった海底火山の大規模噴火は、千年に一度クラスという巨大噴火だった。日本の近くにある海溝にも火山は多い。火山と地震は関係あるのか。産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)の宍倉正展・海溝型地震履歴研究グループ長は言う。
【房総半島沖に「巨大地震の未知の震源」を発見 大津波が発生した痕跡も】より続く
「1707年10月に発生した宝永地震の後、同年12月に富士山の宝永大噴火が起きています。これには何らかの関連があると思われていますが、南太平洋の海溝で火山が噴火しても、日本の地震に与える影響はほぼないと思われます」
それでは、関東地方に大きな打撃を与える巨大地震はいつ起きるのか。実は、房総半島沖や相模トラフを震源とする巨大地震の発生確率は、今後30年で0~6%程度。警戒を緩めてはならないが、過度に恐れる必要はない。
ところが、マグニチュード(M)7クラスの地震が首都圏で発生する確率は、今後の30年間で70%と言われている。防災科学技術研究所の平田直参与は、こう話す。
「南関東でのM7クラスの地震平均発生間隔は27.5年。今後も、南関東のどこかで発生する可能性が高い。そのなかでも、都心南部直下が震源となった場合、最も被害が大きくなると予想されています」
政府の中央防災会議が2013年にまとめた報告書によると、都心南部を震源とするM7クラスの直下型地震が発生した場合、死者は最大約2万3千人、建物の被害は最大61万棟にのぼる。
さらに、日本の経済の中心である東京のインフラがストップすることの影響は大きく、生産ラインやサービス提供などがストップし、約48兆円の経済被害が発生する。建物の被害額約47兆円と合わせると、計95兆円の経済損失が出るという。
都心南部が震源だった場合、住宅や店舗、オフィスの密集地を強い揺れが襲う。だが、被害はもっと広い範囲に及ぶ。